【英雄伝説IX 黎の軌跡】――ここから、新たな “軌跡”ものがたり が始まる。 批評・感想[PS4・Steam]

黎の軌跡

おすすめ度:★★★★☆(4.3)

さくにゃあ
こんにちは、さくにゃあです。
今回は「英雄伝説IX 黎の軌跡」批評・感想を書いていきます。

目次

英雄伝説IX 黎の軌跡 レビュー

批評・感想

作品紹介

スタッフ
タイトル 英雄伝説IX 黎の軌跡
対応機種 PS4,Steam
開発元 日本ファルコム
販売元 日本ファルコム
あらすじ

裏解決屋スプリガン』――
カルバード共和国という多様性の坩堝るつぼから生まれた、ある種の“裏稼業”。

ある時は 探偵 ディテクティブとして、ある時は 交渉人 ネゴシエイターとして、またある時は 賞金稼ぎ バウンティハンターとして、彼らはどんな、そして誰からの依頼でも受ける。

警察では扱い切れない依頼の下請け、市民からの“表沙汰にできない”相談事、さらには犯罪者やアンダーグラウンド勢力の“真っ当な”依頼も。

それが、『裏解決屋』と呼ばれる彼らの流儀であった。

時に、七耀暦しちようれき1208年――

共和国首都・旧市街にある古ぼけた雑居ビルを名門校の制服に身を包んだ、いかにも育ちの良さそうなひとりの女生徒が訪れていた。

『アークライド解決事務所』

素っ気ない文字で書かれたそのプレートを、凛とした眼差しで見つめる少女。

コクンと喉を鳴らし、意を決してノックを3回。

…………

『~ふわああっ、昼前に珍しいな……』

だらしないようで落ち着いた、大人びているようで意外と若い男の声が響き、ドアノブがゆっくりと回り出す。

――ここから、新たな “軌跡”ものがたり が始まる。

Movie

OP Movie

 

批評・感想

批評・感想

黎の軌跡

いままでとかなり毛色が違う作品でした。
というのも、主人公の性格や立場だったり、それに影響した登場人物やイベントだったりと色々あるのですが、そちらは後ほど紹介していきたいと思います。先に言っておきますが、システムはシリーズトップクラス、シナリオもとても面白かったです。

本作「英雄伝説 黎の軌跡」は2021年9月30日に発売したPlayStation4用ゲームソフト。英雄伝説シリーズ9作目であり、軌跡シリーズとしては4作目にあたる作品になります。
物語は国家単位でシリーズが制作されており、1作目から「リベール王国」「クロスベル自治州」「エレボニア帝国」「カルバード共和国」の順番で舞台が変わります。

 1作目──リベール王国編は全3作で構成されており、「空の軌跡FC」「空の軌跡SC」は遊撃士であるエステル、3作目である「空の軌跡 the 3rd」は星杯騎士団の守護騎士ケビンが主人公を務めます。
2作目──クロスベル自治州編は全2作で「零の軌跡」「碧の軌跡」にて特務支援課という課に所属する警察のロイドが主人公を務めます。
3作目──エレボニア帝国編は全5作で「閃の軌跡」「閃の軌跡2」にて士官学校に通うリィン、「閃の軌跡3」「閃の軌跡4」にて士官学校に教官として就職したリィンが主人公を務めます。そして「創の軌跡」ではロイド・リィン・C3人が主人公を務め、3人それぞれのストーリーが展開するクロスストーリー作品となります。

黎の軌跡

 そして今作「黎の軌跡」では裏解決屋のヴァンが主人公となり、共和国編がスタートしました。ここまで未プレイの方は何となく理解されたかと思いますが、本作は時系列・世界観・物語の全てがつながっており、空の軌跡の七耀暦1202年から1208年までの物語になっています。シリーズを通して様々な国家や組織が現れ、過去作で出たキャラクターが再登場したり、過去作で明かされたエピソードや組織が物語に大きく関わってくることがざらにある作品で、過去作未プレイ者お断りな面が強い作品です。

ただ、過去作は基本的に1作目は過去作エピソード少なめで、新規参入者が1作目で入りやすい形が作られていたのですが、黎の軌跡ではそれがなく、最初から過去キャラクターの登場や組織の関わりなどがかなりあり、過去作プレイしてない人半分もわからないだろと思わざるを得ない構成になっていました。その点がまず、過去作と比べて違う点の1つですね。

黎の軌跡

 次に、本作の主人公であるヴァンは、裏解決屋という職業をしており、筋が通っていれば表の人間、裏の人間かどうかに関わらず依頼を受ける何でも屋をしています。その理由もあってか、遊撃士や警察から結社や黒月といった過去作の主人公たちの前に強大な敵として現れてきた者たちとまで交友関係があります。黒月はともかく、世界的な危険組織であり、謎が多いとされている結社にまで交友関係があるのは、異常な交友関係と言わざるを得ませんが

 そういった理由もあり、何も知らない主人公が事件などを通じて、国家の闇や結社などの裏の組織について知っていくといった流れのようなものがあまり無く、既存キャラから新キャラまで、様々な組織のキャラクターが1作目から登場しました。
新規参入者にとっては意味がわからないと思いますが、ファンにとっては激アツな神展開でした。(既存だとジン・ヴァルター・キリカの再会、大人版フィー、未登場だった破戒・黄金蝶・守護騎士第四位・第十一位・白銀の剣聖などなどマジで神な登場人物でした)

 ここまではキャラクターに関係する要素を紹介してきましたが、そのほかにも工学都市バーゼルにあるヴェンヌ本社、黒月の本拠地がある東方人街、共和国東部にある東方人街「龍來」など、過去作で情報だけが登場していた組織や街も複数登場し、こちらもファンにとってとても嬉しい場所の実装になりました。

黎の軌跡

 そして今回の新要素である魔装鬼(グランデル)。支援AI「メア」がホログラムで顕現することで、ヴァンが姿を変化させる変身要素がありました。変身して戦うという変身ヒーロー的な要素は男なら素晴らしい要素ということで、個人的にもとても楽しみにしており、実際楽しめた要素でした。グランデルを纏って戦うというシステム的な要素ももちろんですが、シナリオ上で変身するまでの演出がとても格好良く、変身イベントで盛り上がりながらバトルシーンで無双するという流れは、ラストバトルを盛り上げる大きな要素になったと思います。

ストーリーは大変面白く、軌跡シリーズファンであればみんなが楽しめたシナリオになっていると思います。ラストもしっかりと物語を締めることが出来ていて、「あれ?共和国編完結??」と思うほどには、綺麗にラストまで描かれていました。

 公式では共和国編は2作以上確定であり、おそらく2作では伏線を回収しきれないなどの理由から3作以上制作も十分ありえるとのことでした。しかし、過去作と比較しても非常に綺麗な終わり方であった為、もしかしたら主人公がヴァン以外のキャラクターで共和国編を続ける可能性もありえるのかな?とも思いました。

個人的には主人公のヴァンはとても好きなキャラクターなので、共和国編続けるのであればヴァンが続投で物語を進めてほしいなと思いました(ヴァン個人やメインキャラクターたちの未回収の伏線も多々残っているで続投するとは思うが)。
 以上でストーリーに関しての感想は終わりです。

黎の軌跡

次にゲームシステムについて紹介していきたいと思います。
ゲームシステムですが、前作と比べてグラフィックやゲームシステムが格段に成長しており、いままで実装していたシステムを今作では実装していなかったりと、いろんな面が新しくなったなというのが最初の印象でした。

 まず最初にグラッフィクスについてですが、キャラクターの表情がより自然になり、照れていたり、怒っていたりなどの感情が顔を見ただけでスッとわかるほど自然な表情になっていました。特に女性キャラクターのジト目や照れている表情はとても可愛らしく、とても素晴らしかったです。

ただ、他社の作品「テイルズオブアライズ」「ファイナルファンタジーVIIリメイク」などと比べると、どうしてもグラフィックの技術は劣ってしまうと感じました。ただ、いままで比べるととても成長が感じられる為、これからも頑張ってほしいと思います。

 次はバトルシステムやフィールドアタックについてです。最初にフィールドアタックですが、グラフィックやモーションがとてもしっかり作られていました。システムとしても、ザコ敵を簡単に一掃出来て、強い敵はコマンドバトルで倒すというシステムを極自然な形で使いわかることが出来、レベルデザインや調整がしっかり出来ているなと感じました。

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 バトルシステムについてですが、こちらも過去作とは違って、自身のターン中であれば移動可能エリア内の中で自由に移動が出来ます。攻撃やクラフトが敵に当たる攻撃射程圏内に自由に移動が出来るので、戦闘の自由度が大きく向上しました。他にもザイファのチェインシステムで、味方が近くにいる場合、クラフトやアーツを強化したり、追撃が発生したりと、味方のサポートを受けることが出来ます。自由に移動してコマンドで攻撃出来るというシステムにしっかりとフィットしているチェインシステムで、過去作のチェインシステムに当たる「戦術リンク」から、本作の新しいゲームシステムに合うように改良されて点はとても素晴らしいと思いました。

それ以外にも、戦闘終了時にリザルト画面に移行せず、フィールド移動可能の状態でリザルトがポップアップ画面として右横やレベルアップ情報が上部に表示されたり、フィールド内でのミニ会話が戦闘に移行しても、途切れることなく続いていたりなど、ゲームを進めるにあたって不便に感じていたミニ会話の強制終了や面倒だと感じていたリザルト画面の表示などが省略されたことによって、ゲームを進めるやる気が削がれることなく、小さなストレスも貯まることなくプレイ出来るので、この点の変更要素もとても良かったです。

黎の軌跡

 次に未実装のシステムや新要素となるシステムについて書いていきます。

未実装のシステムですが、特にあれ?と思ったのは魔獣情報に関するシステムです。従来のシステムでは、敵の情報を閲覧したり、情報として保存するためには、アナライズというアーツや同様の効果をもつクオーツや道具を使用して、敵の情報を調べる必要がありました。しかし、今作ではこちらは実装されておらず、初戦闘時の段階で、敵の情報が閲覧可能となっていました。次に料理システム、こちらもキャラクターによって同じ食材・レシピでも制作出来る料理が異なったりしたり、メニュー内で自由に料理を調理することが出来ましたが、今作ではレシピによって調理するキャラクターが決まっており、調理自体もボス戦前の回復エリア、もしくはキッチンのある場所でのみ調理が可能となっていました。

黎の軌跡

新要素としては、LGCアライメントというシステムで、選択肢によってLAW GRAY CHAOSの何れかの値が変化し、その値によってシナリオが変化するというものです。最初はルート分岐?と不安に思いましたが、途中のシナリオで参加キャラが変わったり、演出が増えたりするというだけで、エンディングが変わるという訳ではないので、エンディング分岐を心配していた方は安心してプレイして欲しいと思います。他にも、大きな要素ではありませんが、細かい新要素がいくつか追加されていましたが、何れも活用機会の多いシステムでとても良かったと思います。

 さて、ここまで長々と感想を書いてきましたが、本作に関する感想・紹介は以上になります。全ての総評として何か書こうと思いましたが、特に無かったので今回は割愛させていただきます。過去作の中でも特にストレスフリーで楽しめて、ゲームシステムも飽きることがなく、新しいシステムがしっかりゲームにフィットしていてよかったなと思いました。
 あと、過去作と比べるとバグの数が尋常ではなかったので(プレイに支障が出るほどではないが)、デバック作業はしっかりして欲しいなと思ったのが今作の不満点です。
あ、プレイ時間は67時間ほどでした。

後書き

おそらく、過去のゲーム感想の中でもトップクラスに長文だと思われます。文字数4000文字超えでかなり書いたなあと自分でも少しビックリする文章量。

では今回はこれくらいで。
推しはシズナのさくにゃあがお届けしました。

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